明けましておめでとうございます。masART STUDIOのカワグチです。寒い日が続きますが,読者諸兄姉におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。冬場は日が暮れるのも早く,特に野外での撮影には苦労されている方も多いかと思います。暗い場所での撮影は,ISO感度を高めに設定することで手ブレを防ぎますが,それと引き換えにザラザラとした高感度ノイズが発生しやすくなります。本稿では,暗部に発生するノイズを低減する方法についてご紹介します。
この気なるノイズですが,Adobe Lightroom(アドビ ライトルーム)のノイズ軽減機能や,Nik Collection(ニックコレクション)に含まれるDfine(ディーファイン)のようなノイズ低減フィルターを使用することでキレイに除去できます。しかし,これらのノイズ軽減機能やフィルターを使いすぎると,ディテール感が失われ,どことなく違和感のある画像となりがちです。つまり,ソフトウエアによる「ノイズの除去」と「ディテールの保持」は両立しない二律背反の関係と言えるでしょう。そこで,今回は画像編集ソフトのノイズ軽減機能でなく,別のアプローチでノイズをきれいに取り去る方法を検証します。
本稿は,masART Blog(2019年2月1日)に投稿された記事を再編集したものです。
同じアングルの写真を沢山撮ろう
光量が少ない場所での撮影では,手ブレが心配なのでISO感度を上げたくなりますよね。しかし,前述のとおり,今度はノイズが心配になります。そんなときは,同じアングルの写真をできるだけ多く撮影します。三脚を持ち合わせていない場合は,手持ちででも構いません。一眼レフはもちろん,コンデジでもスマホでも構いません。今回の作例では,20枚くらい同じアングルの写真を撮影しました。
ここで,感の良い方はお気付きかもしれませんが,今回紹介する手法は後処理で複数の写真を合成していきます。そのため,人物や動物,乗り物など動きのある被写体には向いていませんので,予めご了承ください。
Photoshopの「統計」機能でバッチリ!
ここから,みんなが大好きAdobe Photoshop(アドビ フォトショップ)の登場です。
Photoshopを起動してアプリケーションメニューの[ファイル] > [スクリプト] > [統計]を選び,「画像の適応設定」画面を表示します。
画像のスタックを選択で「平均値」が選択されていることを確認する。
ソースファイルの使用から「ファイル」を選択して,参照を押下します。
画像選択画面が表示されますので,取り込みたい画像を選択して「開く」を押下します。
画像を取り込んだら,「ソース画像を自動的に配置する」にチェックを入れて「OK」を押下します。
複数の画像が,1枚の画像に統合されました。
キレイにノイズが除去された写真ができあがりました。四隅に画像毎のズレによる縁が出来ていますので,不要な部分をトリミングしたら完成です。
左がオリジナル画像。右が統計機能でノイズを軽減した画像。キレイにノイズが除去されていることがわかります。
まとめ
この記事では,統計機能による夜景写真のノイズを除去する方法をご紹介いたしました。ノイズはランダムに発生します。そのため,同じような条件で撮影しても,全く同じ場所に同じようなノイズが発生するとは限りません。このノイズが発生する原理を利用して,ノイズを目立たなくすることが今回の鍵となっています。最後までご覧いただきありがとうございました。